2014年女子学生アンケート

明日の歯科界背負って立つ後輩たちの期待や不安
 ふくおか女性歯科医師の会では、会結成2年後の2002年6月に女子歯学生対象のアンケートをとりましたが、今回12年ぶりに「女子歯学生アンケート」を実施しました。受験の動機から現在の大学生活や将来の希望を含む12の項目について、歯科医師を目指す彼女たちがどんな意識を持っているかを調査したものです。
 会のメンバーにとっては、懐かしい想い出でもあり、女子歯学生を持つ保護者の皆さんにとっては我が子の悩みであり、何よりこれからの歯科界を背負っていく後輩たちの期待や不安でもあります。12年間の歯科界の動き等も反映されているところもあるようです。この度、ようやくアンケートの結果がまとまりましたので、分析も加えながら3回にわたり報告させていただきます。今回は、九州管内の5大学で2014年5~6月に実施しました。483名の方から回答いただきました。快くご協力いただきました九州歯科大・西原学長、九州大歯学部・赤峰学長、長崎大歯学部・中山学長、福岡歯科大・北村学長、鹿児島大歯学部・松口歯学部長・於保教授など、各大学はじめとして関係者の皆様のご協力に感謝申し上げます。

(松浦美智子・吉村富美 記)
 
①回答者年齢は19~24歳
 大学別回答者の平均年齢は、九州歯科大学21・6歳、九州大学21・9歳、鹿児島大学21・7歳、長崎大学22・3歳、福岡歯科大学20・9歳だったが、5大学とも19歳~24歳が60%~70%を占めた。
回収結果は次の通り
(  )内は女子歯学生在籍者数
福岡歯科大学     81名(202名)
九州歯科大学     85名(259名)
九州大学歯学部    98名(115名)
長崎大学歯学部    94名(132名)
鹿児島大学歯学部  125名(151名)
   合計     483名(859名)
 
②保護者の職業は5大学とも歯科医師が最多
 各大学とも歯科医師が最多。次いで、全体割合では、公務員、会社員、医師が多かった。前回2002年度の調査では45%が医師・歯科医師であったが、今回は歯科医師が35%、医師が14%とあわせて49%とほぼ半数が医療関係だった。
 やはり自分の跡を継がせたいと言う親の思いか、又は幼い頃から親の仕事を見てきての憧れか、他の職業よりもやりがいがあると言う意欲の現れであってくれれば大変嬉しい限りである。とくに、福岡歯科大学は医師が多く、鹿児島大学は公務員、会社員、自営業、医師の順に多かった。因みに福岡歯科大学は歯科医師、医師が70%を占めていた。
 

 
③受験動機は「歯科医になりたい」47%
 「歯科医になりたい」がどの大学も一番多く、227名47%と歯科医不人気の時代にしては頼もしい限りである。次に「医学部の滑り止め」を挙げた大学は九州歯科大学、長崎大学、福岡歯科大学で医学部を目指していた学生は医療には関心があってのことだと思われるので歯科医になって、その実力を発揮してもらいたいものだ。九州大学と鹿児島大学は「偏差値の為」が次に多かった。「その他」では「医療従事者になりたかった」「親の仕事を継ぐため」といった回答が目立った。
 

 
④入学の理由は「医療に関心」が半数超す
 前回「医療に関心がある」は50%だったが今回は54・7%と半数以上だった。「親が歯科医」という環境も入学の第二の要因となっている。
 各大学データでも「医療に関心がある」が最多数。入学の理由第2位は九州歯科大学、九州大学、鹿児島大学、福岡歯科大学が「親が歯科医」となっているのに対し、長崎大学では「ただ何となく」となっている。「その他」ではそれぞれ2名ずつ「手に職を付けたかった」「資格取得」「国公立だから」と言った意見が上がっている。一方、「社会的評価」・「高収入」などは、さほどの入学動機とはなっていない。
 

 
⑤入学後の心境は「概ね満足」と満足度上昇
 全体データでは「良かったと思う」が6割に迫る。前回の4割に対して満足度は上がっている。これは親が歯医者、医者が多く比較的裕福な生活が出来てきた為か、はたまたゆとりの時代の為か、あまり欲がないように感じられる。
 「期待に反した」学生が7・5%と前回の18%に比べて激減している。いい意味で欲がないのは経済的なことなのか。歯科医療の技術の向上には欲を出してほしいものだ。
 全体の傾向と同じく大学別に見ても「良かったと思う」が大多数。「その他」では、「人間関係が面倒」「医学部の再受験も検討」と言った意見もごくわずかだが見られた。これはどの時代どの大学にもあることだと思う。おおむねの女性歯学生が、満足した学生生活を送っていることが見て取れました。
 
2002年女子学生アンケート

『いつか来た道』、我が子の悩み、後輩たちの期待や不安 興味深い結果になりました
 福岡女性歯科医師の会では、2002年女子学生を対象にアンケートを行いました。 大学卒業後、歯科医師としてデビューします。女性として仕事と家庭を両立させることはなかなか難しいことです。
 
 私たちにとってはずいぶん昔の懐かしい『いつか来た道』であり、女子歯学生を持つ親にとっては我が子の悩みであり、何よりもこれからの歯科界を背負っていく後輩たちの期待や不安でもあります。
 
 今どきの女学生のみなさんがどのように考えているか。また私たちをどんなふうにみているのか。大変興味深い結果となりました。
 
で・・・質問は以下のようにしてみました。
1.あなたご自身の年齢について
2.ご父兄のご職業
3.歯科大学受験の動機は?
4.入学の理由は?
5.入学前とくらべて現在の心境は?
6.歯科医になることへの不安はありますか?
7.現在大学への不満はありますか?
8.将来結婚を望みますか?
9.先輩歯科医師から、どんな情報が知りたいですか?
10.何科に興味がありますか?
11.卒後すぐ、どうしたいですか?
12.将来開業を希望しますか?

 
分析してみると・・・
質問1:年齢
私たちの時にくらべ年齢の幅が広くなっています。いろんな経験を積んだ後、勉学に取り組んだと思われますが非常に頼もしく思えます。
 
質問2:職業
医療関係者師弟以外が半数以上あるのはちょっと意外でした。
職業難の時代(特に女性)、手に技術を付けておいた方がいいとの親子共通の考えがあるのでは。
 
質問3:4:入学の動機
医療に関心があるが51%は少ない気がします。少なくとも歯学部に入学する以上は少しでも関心を持ってほしいものです。
 
質問5:現在の心境
良かったが45%、期待に反したが18%、この回答の学生さんは自分の進路を自分で見つけられる気がします。
ただ6年間も歯科を学んできて、特にないの回答が33%もあったことには驚きです。周りに流されないようにしてほしいものです。
 
質問6:歯科医になることへの不安
不安があって当り前、かえって不安のない人に不安を感じます。
 
質問8:将来結婚を望みますか
結婚しても仕事を続けたい人が87%非常に頼もしい。
そして両立への不安が67%、女性がずっと働き続けられるよう、まわりの環境を少しずつでも改善しなくては…
そして自分自身の努力も続けなければ…
でも私の時代にくらべれば今は少しは恵まれてきています。
途中で中断することがあるかもしれないけれど少しずつでも、かかわりを持ちつづけたらいいですね。「継続は力なり」です。
 
質問11:卒後すぐどうしたいか
大きな病院の歯科に勤務希望が29%もあるけれど、病院歯科は統廃合されつつあり就職は難しくなりつつあると思われます。
 
質問12:将来開業を希望しますか
一人で開業が21人もいるのは頼もしい限りです。
その反面、歯科の仕事を続ける気がないが15人もいたのにはちょっと残念です。